「スピーチ」と聞いて思い浮かぶシーンは?
大人なら「結婚式のお祝いスピーチ」「会社の朝礼で3分スピーチ」「国の代表者による国際会議でのスピーチ」「大きなタイトルの受賞スピーチ」… などでしょうか?
もしいざ自分がやるとなると気が進まない、緊張する、恐怖心を抱くのは経験不足が関係してるかも知れません。
欧米では早ければ幼稚園から「お気に入りのもの」などをみんなの前で紹介しながらプレゼンする”Show&Tell” と呼ばれる取り組みを始めます。日常においても、人生の節目のイベントでスピーチが行われる機会が日本よりも多いので実践経験を積めますし、必然的に他の人のスピーチやプレゼンを見聞きする機会も得られます。
ニュージーランドでの自身の学生生活を振り返ってみても、冠婚葬祭のスピーチ以外では、知人の21歳誕生パーティー(イギリスの文化風習を受け継ぐニュージーランドでは、伝統的な成人年齢である21歳の誕生日を盛大にお祝いする文化があります)で主役が両親とその場に集まった友人知人に対してスピーチを披露するのを聞いたことがあります。単なる「あいさつ」程度の軽いものではなく、感謝の気持ちや今後の決意がユーモアを交えてうまくまとめられた内容でした。また高校の卒業式では、生徒会代表の男女がそれぞれ思い出話を面白おかしく繰り広げ最後は感動の涙で締めくくるという素晴らしいスピーチを披露していました。いずれにしても英語スピーチにセンスの良いユーモアはつきものだということを身をもって体験しました。
そして自身のことで言うと、私に英語を教えてくれたニュージーランド人の恩師の勧めで「ニュージーランドスピーチボード」という実技試験に挑戦し、「アドバンスト」の資格を取得する機会を得ました。同組織の審査員の経験もあった彼女からコーチングを受け、スピーチの体系やテクニックについて学ぶことができたのは今となっては人生の財産です。
いま日本の教育現場では、グローバルスタンダードにならうべく小学校や中学校、高校でプレゼンテーションやスピーチの課題が出るようになり始めています。個人的には、今後ますます重要視される能力になるだろうとも思っています。
伝える能力の高さとは、簡単に言うと説得力。自分の内側にある思いや考えを聞き手にも同じ質と温度で感じてもらえるということです。
売りたい商品がいくら良くても、その価値をうまく伝えられないと顧客から選んでもらえないように、伝える力が十分でないとその価値は認知されないのです。ましてや「英語による伝える力」は国際競争力の優劣にも影響します。
伝える力の習得は、自分を売り込む入試や就職の面接、モノやサービスを売り込むビジネスなど、将来のアドバンテージになるに違いありません。
だれもが初めは苦手だからこそ、生徒のみなさんには場数を経験し、スキルとテクニックを身につけ、生きる上での強みにしていってほしいと願っています。